戦後のスター・三橋達也

容姿はもちろん、高い運動神経、
洗練された身のこなし、見る側が不快にならない爽やかな印象。

スターの資質は多々あれど、日本の映画史の中でも
これ等を当たり前に持ち合わせている俳優はそうそう居ません。

しかしそんな日本の映画界に、パーフェクトとも言えるスターが戦後現れました。

それが三橋達也です。

銀座生まれ・銀座育ちの三橋達也は、活劇ではタフガイらしい強さや運動神経を披露し、
風俗劇では都会の男性らしい洗練された仕草や繊細さで多くのファンを魅了しました。

三橋達也は、シベリア抑留生活の後に復員。

大泉映画、新東宝、松竹と拠点を移しながらも、俳優として様々な映画に出演しました。
そんな彼が最初に地盤を作ったのは、「愚弟賢兄」や「次男坊」をはじめとするホームドラマ。

ここで地盤を固めつつも、
三橋がスターとして高い人気を得るようになったのは、1954年に日活に移ってからになります。

1954年、日活に移った三橋は、「愛のお荷物」(川島雄三の)や「青春怪談」(市川崑)と言った
喜劇に出演する他、シリアスな心理ドラマ「夏目漱石のこころ」に連続主演。

そのルックスや立ち居振る舞い、高い演技力、
更に「顔役」や「無法一代」などで見せた凄みのある演技で多くのファンを獲得しました。

三橋はその後も「銀座二十四帖」や「風俗」、「洲崎パラダイス 赤信号」などの川島作品に出演。

中でも真珠三千代と共演した「洲崎パラダイス 赤信号」は傑作と名高い作品です。

58年になると、東宝へ移った川島を追い三橋もまた東宝に入社。

「国際秘密警察シリーズ」をはじめとする数々のアクション映画に出演する他、ギャング活劇や社会劇、都会派メロドラマなど、あらゆるジャンルで活躍しました。

三橋達也の出演作の中でも目を引くのは、
やはり黒澤明監督の「天国と地獄」、成瀬巳喜男監督の「女の中にいる他人」辺りでしょう。

また三橋の活躍は留まるところを知らず、
海外映画「勇者のみ」や「トラ・トラ・トラ! 」にまで出演しました。

そんな三橋達也の最後の出演作は、「忘れられぬ人々」になります。